最初の確認で知りたい4つのこと
- 存在:自社名を含めない一般的な質問でも、候補や情報源として登場するか。
- 理解:事業内容、対象顧客、強み、条件が公式情報と同じ意味で説明されるか。
- 根拠:どのページ・第三者情報が回答の根拠として示されるか。
- 差分:競合は登場するのに自社が出ない質問、または誤解される論点は何か。
この4点を分けると、「表示されなかったから記事を増やす」といった短絡的な判断を避けられます。問題がクロールなのか、情報不足なのか、第三者評価なのか、そもそも質問と自社が合っていないのかを考えられます。
開始前に準備するもの
- 確認したいAI回答面を1〜2種類。最初から全サービスを追わない。
- 自社の公式な説明、対象顧客、料金・条件、強みが分かるページ。
- 競合または比較対象を2〜3社。市場の全企業を網羅する必要はない。
- 質問と回答を記録する表。スプレッドシートで十分。
- 実行日時、言語、地域、ログイン状態を残す欄。
AI回答は同じ質問でも変わるため、「今日見えた結果」を普遍的な評価にしません。最初は再確認できる小さな質問セットを作ることが重要です。
質問はブランド指名・非指名・比較の3群で作る
1. ブランド指名:基本情報の正確性を見る
例:「○○社は何をしている会社ですか」「○○サービスはどのような企業向けですか」。公式ページで確認できる事実が、古くなったり誇張されたりしていないかを見ます。
2. 非指名:候補に入る条件を見る
例:「従業員50人のシフト制企業に向く勤怠管理は」「初期設定の支援がある○○ツールは」。自社名を質問に含めず、顧客の状況と選定条件を含めます。
3. 比較:判断軸と差の説明を見る
例:「○○と△△の違いは」「○○を選ぶ際の注意点は」。勝ち負けだけでなく、AIがどの情報を比較軸として使い、出典がどこにあるかを確認します。
| 避けたい例 | 改善例 | 理由 |
|---|---|---|
| おすすめのCRMは? | 営業10人、初導入、運用支援が必要な企業向けCRMは? | 対象と条件が明確になる。 |
| ○○は最高? | ○○が向く企業と、向かない企業は? | 肯定を誘導せず、条件を確認できる。 |
| ○○のSEO評価は? | ○○は△△の課題をどう解決し、根拠はどこにある? | 曖昧な評価ではなく事実を見られる。 |
30分で行う手順
指名2、非指名2、比較2。重要な顧客層とサービスに絞ります。
質問を改変せず、回答全文、引用URL、実行条件を記録します。
事業内容、対象者、料金、提供範囲、実績など重要事実を確認します。
誤り、情報不足、競合だけが持つ根拠から、次に直す項目を決めます。
最低限、8項目を記録する
| 項目 | 保存する内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 質問ID・分類 | Q01、指名/非指名/比較など | 同じ質問を追跡する。 |
| 質問全文 | 句読点を含む完全な文面 | 言い換えによる差を避ける。 |
| 実行条件 | 日時、回答面、言語、地域、ログイン状態 | 再現条件を残す。 |
| 回答全文 | 要約せず、表示された内容を保存 | 後から判定を見直せる。 |
| 引用元 | 表示URL、ページ名、引用との関係 | 参照理由を調べる。 |
| ブランド言及 | あり/なし、回答内での役割 | 単なる文字列以上の意味を見る。 |
| 事実判定 | 正確/不足/誤り/判定不能 | 改善と訂正の優先度を決める。 |
| 次の対応 | 対象ページ、担当、期限 | 観測を施策につなげる。 |
結果は4パターンで判定する
基本情報は届いています。どのページ・第三者情報が根拠かを確認し、同じ質問で持続するかを追います。
まず公式ページに正しい情報が明記されているか確認します。外部の古い情報が参照されている場合は、訂正可能な接点を探します。
競合が選ばれた理由を、対象者、比較基準、一次情報、第三者の裏付けに分解します。記事本数だけを比べません。
結論を急がず、日時を変えて反復します。回答が出ない、検索しない場合も欠測として残します。
CAUTION
自社名を含む質問で正しく説明されたことは、「非指名の比較質問でも推奨される」ことを意味しません。質問群ごとに成果を分けてください。
観測結果を改善へつなげる
記録後は、課題を次の順序で整理します。
- 重大な誤り:料金、対象、提供可否など顧客判断に影響する誤情報を優先。
- 公式情報の不足:AI以前に、読者も確認できない事実をページへ追加。
- 取得・重複の問題:クロール、canonical、内部リンク、重複ページを点検。
- 参照理由の不足:一次データ、比較条件、実例、更新可能な情報を設計。
- 外部の不一致:公式プロフィール、報道、業界ディレクトリなどの事実を確認。
改善後は同じ質問・同じ条件で再観測します。質問を変えた場合は、改善前との単純比較を避けます。
30分の確認を、4週間の継続観測へ広げる
初回確認で重要な問題が見つかったら、質問を増やす前に同じ6問を4週間追います。週1回だけでも、単発の回答と繰り返し現れる傾向を分けられます。曜日・時間を完全に固定できない場合は、実行日時を残して差を解釈できるようにします。
| 週 | 作業 | 判断 |
|---|---|---|
| 1週目 | 基準となる回答を保存し、重大な誤りを洗い出す。 | 公式情報の不足か、外部情報の不一致か。 |
| 2週目 | 同じ質問を再実行し、回答と引用元の差分を記録。 | 単発表示か、繰り返す傾向か。 |
| 3週目 | 優先ページを改善。変更日と内容を記録する。 | 何を変えたか説明できるか。 |
| 4週目 | 再度実行。ただし短期変化を施策効果と断定しない。 | 次月も追う質問と、終了する質問を選ぶ。 |
記録表には「引用されたか」以外のメモを残す
たとえば自社が候補に入らなくても、AIが挙げた比較軸が営業現場で実際に使われているなら、コンテンツ企画の手掛かりになります。逆に自社が言及されても、対象外の顧客に推奨されているなら、露出の増加を良い成果とは評価できません。
観測担当と製品担当で月1回、誤り・不足・新しい比較軸を確認すると、AEOの記録をサイト改善だけでなく、FAQ、営業資料、オンボーディングの改善にも再利用できます。
- 購入判断や安全性に影響する重大な誤情報
- 自社の公式ページにも存在しない重要情報
- 複数回続く競合との差・引用元の偏り
- 一度だけ現れた軽微な表現差
なお、手作業の確認には、実行者による判定差と観測できる件数の限界があります。質問が増えたら、正確・不足・誤り・判定不能の定義を文書化し、重要な判定は別の担当者が見直します。自動取得を導入する場合も、各サービスの利用条件を確認し、回答保存の成否や欠測を記録してください。自動化そのものがデータの正しさを保証するわけではありません。
参考資料
- Google Search Central:AI features and your websiteAI機能における表示、リンク、Search Consoleでの計測に関する公式説明。
- OpenAI:Publishers and Developers FAQChatGPT検索での発見と参照トラフィックに関する説明。